以前円靭帯の切断場所を説明しました。
結局”真ん中らへん”になっていました。
でも実は、とりあえず真ん中ではかなり痛い目に合うことがあります。今回はそれについて説明していきたいと思います。
目次
”とりあえず真ん中”で!はいけない時とは
結論、円靭帯切開場所が”とりあえず真ん中”ではいけない時は困難症例の時です。
真ん中を切っておけばとりあえず9割はうまくいきます。なぜなら真ん中で切ると円靭帯切開部位のポイントがたいがいクリアされます。
- 子宮動静脈上行枝から離れている。
- 骨盤漏斗靱帯から離れている
- 子宮から遠すぎない。
困難症例以外では”とりあえず真ん中”で切っておけば問題とならない為、逆に普段の症例ではアドバイスが”とりあえず真ん中”となるのです。
しかし以下の場合では上記のポイントを満たす場所が徐々にずれてきます。
癒着症例で円靭帯と骨盤漏斗靭帯が近い時
巨大筋腫、巨大卵巣腫瘍で円靭帯が引き延ばされているとき
いわゆる”困難症例”ですね。1つずつ例を見ながらやっていきましょう。
癒着症例で円靭帯と骨盤漏斗靭帯が近い時
広間膜の後葉が癒着しており、骨盤漏斗と円靭帯が近づいている場合を考えてみます。
円靭帯と骨盤漏斗靭帯が癒着により近くなっています。
この時は骨盤漏斗靭帯との距離を見てやや外側めで切開しています。
巨大筋腫、巨大卵巣腫瘍で円靭帯が引き延ばされているとき
次は逆に巨大子宮筋腫で引き延ばされているときを見てみましょう。右円靭帯です。
かなりのびのびの円靭帯ですね。とりあえず真ん中で切ってみましょうか。
そしてその後の広間膜腔を効率よく展開するために切らないといけないラインは・・・
結構戻らないといけないんですよね。なかなか無駄ですよね。時間もかかりますし、この段階で子宮に近づく切開ラインはかなりリスクが高いですよね。
そのため今回は近めの部位で円靭帯を切っています。
そのまま外側に切っていくとキレイに展開することが出来ます。
巨大子宮筋腫という困難症例ですが、円靭帯は伸びており、子宮から離れてしまうというリスクを優先し”真ん中”よりかなり子宮よりで切開しています。
最終問題
どこで切りますか?
もう一度ポイントを見ながら考えてみてください。
- 子宮動静脈上行枝から離れている。
- 骨盤漏斗靱帯から離れている
- 子宮から遠すぎない。
骨盤漏斗靭帯の上縁がここになりますね。
ということで正解は、このくぼみのラインでした。
今日からできること
円靭帯見て、骨盤漏斗靭帯をみて、子宮から遠すぎないライン!
まとめ問題
選択肢問題:
困難な症例において、円靭帯の切開場所を決定する際、以下のどの条件が最も重要でしょうか?
- A. 子宮動静脈上行枝から離れていること
- B. 骨盤漏斗靭帯から離れていること
- C. 子宮から遠すぎないこと
- D. すべての条件が同等に重要である
解答:D. すべての条件が同等に重要である
解説: 困難な症例において、円靭帯の切開場所を決定する際、子宮動静脈上行枝から離れていること、骨盤漏斗靭帯から離れていること、そして子宮から遠すぎないことのすべてが重要な条件となります。これらの条件を満たす場所で円靭帯を切ることが、手術の安全性や効率を保つ上で大切です。
ぜひ日々の臨床に役立ててください。次回からは広間膜の展開に移っていきます。
次回は円靭帯を切ると広間膜腔はどうなる?ですお楽しみに。