今回から、卵巣を温存するときの附属器の処理について説明していきます。
何となく、構造がややこしく、出血を案外しやすいですよね。
ここで出血をすると、骨盤傍組織の処理の時に血液が垂れ込む原因になります。
失敗する原因は実はイメージにあるかもしれません。
まずは解剖からわかりやすくメタファーを用いて理解していきましょう。
構造は”クローバー”であり”冊子”である
よく書籍では附属器はクローバーであるとたとえて説明されます
断面を見るとトランプのクローバに見えるからです♧
それぞれ、葉っぱが腹側から、円靭帯、卵管、卵巣固有策となり、ど真ん中に骨盤漏斗靭帯~子宮動静脈の吻合部があります。
しかし、個人的にはこのクローバのメタファーは最近の流れを考えると芯を食っていないと感じています。
クローバの例の場合は血管をメインとして考えているため展開を行うときに芯を食ったメタファーとは若干遠いと考えています。葉っぱの部分が丸く血管をイメージしているというわけです。
ではどのようなメタファーがいいのか?
個人的には”3ページの冊子”のイメージを持ったほうが近年の手術に対してはわかりやすいと思っています。
なぜなら、最近の手術手技の傾向として、層や間膜という概念が外科から取り入れられることが増えてきたため、より層を意識できる”冊子”のメタファーほうがよいと考えています。
ちょっとわかりにくいため詳しく画像を使って説明していきます。
背表紙が骨盤漏斗靭帯~子宮動静脈の吻合部になり、1ページ目が円靭帯とその腹膜、2ページ目が卵管と卵管間膜、3ページ目が固有策と卵巣になります。
1ページの様な層構造ととらえることでより立体的なイメージがつくのではないでしょうか。
1ページ目の円靭帯とその腹膜
2ページ目の卵管と卵管間膜 と 3ページ目の固有策と卵巣
3ページすべてを処理した後の、背表紙の骨盤漏斗靭帯~子宮動静脈の吻合部
次回は、具体的な処理の手順について説明していきます。お楽しみに。
まとめ問題と解説
問題 この文章で述べられた附属器の処理のメタファーに関して以下の選択肢から正しいものを選びなさい。
A. 附属器の構造はクローバーとよく例えられ、それぞれの葉っぱは腹側から円靭帯、卵管、卵巣固有策を表している。
B. “3ページの冊子”のメタファーでは、1ページ目が円靭帯とその腹膜、2ページ目が卵管と卵管間膜、3ページ目が固有策と卵巣、背表紙が子宮動静脈の吻合部になる。
C. クローバーのメタファーは近年の手術の傾向を考慮しており、血管をメインに考えている。
D. 3ページの冊子のメタファーは適切ではない。なぜなら、層や間膜という概念が外科から取り入れられることは少ないからだ。
解答: B. “3ページの冊子”のメタファーでは、1ページ目が円靭帯とその腹膜、2ページ目が卵管と卵管間膜、3ページ目が固有策と卵巣、背表紙が子宮動静脈の吻合部になる。
解説:
Aは半分正しいです。附属器の構造がクローバーにたとえられている点は正確ですが、それぞれの葉っぱが腹側から円靭帯、卵管、卵巣固有策を表しているという部分は誤りです。実際には、これらの葉っぱはそれぞれが層の概念を持ち、それぞれが特定の部分を表すわけではありません。
Bは文章の情報を正確に反映しています。文章では、附属器の構造を理解するための新しいメタファーとして”3ページの冊子”を提案しています。その比喩では、1ページ目が円靭帯とその腹膜、2ページ目が卵管と卵管間膜、3ページ目が固有策と卵巣を表し、背表紙が骨盤漏斗靭帯~子宮動静脈の吻合部となります。
Cは誤りです。クローバーのメタファーは実際には近年の手術手技の傾向を反映しておらず、文章中でも述べられている通り、血管をメインに考えるという特性があるため、現代の手術手技の傾向とは合致しないとされています。
Dは誤りです。文章中では、層や間膜という概念が近年の手術手技で取り入れられていると述べており、その傾向を反映するために”3ページの冊子”というメタファーが提案されています。このメタファーは附属器の構造を立体的に理解するのに役立つとされています。