腟からの子宮の回収は得意ですか?
AT,TLH,RASH後で地味に時間がかかるのが腟からの全摘した子宮の回収ですよね。
今回は、最速で子宮を腟より回収する方法を解説します。
これまで何100(何1000?)の子宮を回収してきました。キロ越えの子宮の回収を何度も行っています。そこで見つけたコツを余すことなく解説します。
目次
最速で子宮を回収する方法
子宮が小さい場合 200g程度まで
基本的に図のように切ればすぐに出ます。
コツは子宮頸管を引っ張って腟内に入れた後に子宮体部と頸部の間(体部下部)より左の卵管角に向かって切開を入れていってください。
出来上がりとしては一本の細長い棒になります
子宮が大きいが 多発の場合 何gでもOK
考え方は、何よりも筋腫を核出すること。
”切開をするのは筋腫を核出するため”
コツは、筋腫の位置を完全に把握しどれから取るかイメージすること。
よくあるミスが切りやすい子宮実質を切っていき、筋腫だけ残ってしまうことです。
これは子宮筋腫の遺残にもつながるので避けましょう。
具体的なやり方は後述します。
子宮が大きくて筋腫が単発 または 腺筋症
単発のでかいやつは一番大変です。なかなか膣の中に入ってこないので切ることができません。
この1番の問題は、腹腔内での操作になるため、腸や腟切開部を傷つける可能性が高いことです。
解決策として大きな袋に入れて回収しましょう。
おすすめは⇩になります。
https://appliedmedical.co.jp/Products/Alexis/CES
まず、大きさが最大級です。径が17センチの物は6Lまで入ります笑
正直17センチのものは使いにくいので14センチで十分です。
単品で袋が3つセットのものがあるのでそれが一番コスパ良いと思います。
袋の端にリトラクタが付いているので巻き巻きすると膣壁が広がって操作しやすいです。
そして何より袋の素材が分厚く裂けにくい!!EZパースなど他の袋は安いですが薄くて扱いにくいですよね。
回収の仕方は筋腫をブロック状に切開して地道に回収するしかありません。
この時はなるべく長細くなるように回収していきます。
するといつか膣内に筋腫が降りてくるようになり、一気に回収することができます。
根気よく頑張りましょう。
実際切る時の動き
大きさによる場合分けが終わったところで、実際の動きについて解説してきます。
基本の動きは”C”
切開方法は基本的にCを描くように切っていきます。
うまいこと行くとりんごの皮剥きみたいに1mほどの一直線の筋腫棒ができます。
組織が大きくて、引っ張ってこっれない時は、諦めてブロック状にして出しますが、この時も初めはCにきります。
基本は長クーパーで切開しますが、初めのとっかかりはメスですることもあります。
子宮体部は膨らんでいますので、奥の方できる時は、真っ直ぐではなくやや外側に向かって切るとうまいこと行きます。
鉤で必ず守る!!腟切開部は絶対に切らない!
よくあるのが、腟の断端部が裏返っていて腟の切開部を誤って切開してしまうことではないでしょうか。
これを防ぐにはこの二つを守ってください。
鉤を必ず根元まで(奥まで)入れる
見ている範囲で切開する
腟断端の縫合がかなり難しくなるので必ず腟を保護しましょう。
切開の方向を考えて何度も鉤の位置を変えて、保護します。
とりあえず引っ張る
テンションがかかっていないと切開ができないので必ず強い力っで引っ張りましょう。
まずはそれからになります。
コツは体重を乗せること。つまり体制を後ろにして後ろにひっくり返るように体を倒してください。
イメージは綱引きです。体重を乗せましょう。
うまく引っ張れている基準は、腕が痺れること。
それぐらい引っ張り大事です。
単鈎鉗子や双鈎鉗子で把持して引っ張り倒しましょう。
筋腫の位置イメージが最も大切
オペ中にどこに筋腫があるのかしっかり覚えておきましょう。
”切開をするのは筋腫を核出するため”の原則に従うために筋腫に向かって切開していく必要があります。
どこにメインの筋腫があるのか、どのようにアプローチするのかはかなり大きなポイントになります。
これをしないのは地図を見ずに走り出すようなものです。
しっかりイメージしてから切開に移りましょう。
持ち前のエコーは、指!
子宮の位置を確認していてもよく筋腫の位置がわからなくなることがあります。
そんな時は、指でどこに何があるか確認してください。
産婦人科の指は内診を経て精密機器と化しています。
これを用いない手はないですね。
膣に指を突っ込んで子宮の位置や筋腫の位置大きさを確認します。
筋腫の核出は”層”を意識する
筋腫の位置を確認できればそちらに向かって切るのですが、このとき筋腫と子宮実質の間の層をしっかりと見極めます。
コツはしっかりと筋腫の中心に向かって切開することです。
実質の方が柔らかいので実質だけ切ることができ容易に筋腫の表面の層に入ることができます。
ねじって展開してから切る
最後のコツはねじって展開してから切るになります。
上側を切る時は、左手を時計回りに捻り下に引っ張ることで、切開するべき場所が出てきます。
逆に、下側を切る時は、左手を反時計回りにねじり上に引っ張ることで、切開できます。
また、展開はハサミでもできます。ハサミの片刃を入れてから、ハサミを閉じずに子宮を押すように動かすことで展開を加えることができます。
まとめ
今回は、子宮を膣より回収する時のコツについて解説しました。
大きさや筋腫に位置を確認し、腕が痺れるぐらい引っ張り、腟を保護しながらCの字に切開してください。コツは、捻りとクーパーの使い方です。
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