運針ってそんなに自由だったの?縫合マスターへのたった二つのコツ。

3 min

縫合に自信ありますか?

縫合難しいですよね。特に腹腔鏡になると・・・

実は、

運針の原則はたった2通りしかないと聞くとどうでしょう。

できる気がしませんか?

今日の縫合やらせてもらえませんか?」と自信を持って言えるそんなふうになりたくないですか?

この記事では、縫合で針を自在に操るための基本動作とコツを、初心者にも伝わるように解説します。自信を持った自分になるための2分をどうぞ。

運針の2原則

運針技術は患者を守る

縫合は外科医にとって最も大切な手技の一つですよね。

出血が止まらない時の最後は縫合。組織を再建した時の出来上がりを決めるのも縫合。

止血と、再建って完全に外科医の中心に位置する手技ですよね。

つまり、縫合がうまいかどうかで外科医としての器量を図ることができる。こう言えるかもしれません。

押すか、回すか。それだけ。

「針の動かし方は二つだけ」と聞くと、「え?それだけでいいの?」と思うかもしれません。

でも、このシンプルさこそが奥深さの入口

その二つとは

押すか、回すか。

たったそれだけの組み合わせで、針はまるで意思をもったように滑らかに、思い通りに動いてくれます。

そう、まるで革細工の職人の指先のように。

「回して、向きを合わせたら押す」


押してから回すこともありますがこの順番が基本です。

針先の向きが進行方向と合っていれば、組織の中をするっと気持ちよく進んでくれます。

まずはその針先、「顔」を向けてやる必要があるんですね。

下は腹腔鏡下の子宮核出の場面です。粘膜下に近く死腔を作らず縫合するためにプルアップ法(禁酒を残したまま底を縫っていく方法)を用いているところです。

端の縫合のため、Vの字に運針する必要があります。

やることは?

回して押すだけ!!

やっていることは単純ですよね

実際のやり方

向きを合わせる:針先を中心に動かす

では、実際に「右に出したい」場合。

これはつまり、筋膜の右側に針を抜きたいということ。

そのときは、まず針の向きを右に。ぴたりと方向が合ったら、そこでぐいっと押し出します。

ここでポイント

針先の向きを変える時は、針先を回転の中心とする。

針先を回すときにシャフトを移動させる必要があります。

押す

向きを合わせたら、それから押す。

まるでハンドルを切ってからアクセルを踏むようなものです。

向きと推進力、この両輪が針をコントロールする鍵となります。

左手で調整する

ここまでで「押す」「回す」の2つの基本操作がわかりましたが、もう一つ重要なテクニックがあります。

それが「左手で組織を引っ張る」こと。

え、なんで左手?と思ったあなた、実はここが職人の技の見せ所なんです。

ポイントは

出したい方向と逆に引っ張る

たとえば左に運針したい場合は、組織を右に引っ張る。すると針の通る道が自然に左へ向き、摩擦も減ってスムーズになります。

手前に出したい時はどうすればいいですか?

手前に出すなら左手で組織を奥に押します。

考えてみれば当然ですが、案外できていない人は多いので意識してみてください。

ちょっとした左手の力加減が、縫合全体のリズムと精度に直結します。

素振りしてみよう

ドライボックスと手術中で感覚は違いますよね。

これは、どうしても角度や距離感やカメラの問題がるためしょうがないです。

ドライボックスでめちゃくちゃに練習したのに、手術中は思うようにいかない。

そんなのはあるあるです。

そんな時は素振りをしてみましょう。何ミリ入れた後、回し始めるのか。実際素振りをしてみてください。

自在に針を操るという感覚と素振り

はじめは「え?なんで思ったところに出ないの?」と焦ることもあるでしょう。

でも、向きを合わせてから押す。そして左手で組織を引っ張る。この一連の動作が一体化してくると、不思議なことに針が「勝手に動いてくれる」感覚を味わえるようになります。

これはちょっと大げさに言えば、縫合というよりも「針と踊る」感覚。針の動きを制御するというより、針と呼吸を合わせるのです。まるで太極拳のような静かな力強さ。

まとめ

針の動かし方は、驚くほどシンプル。押すか回すか、そして左手で引っ張るか。その3つを極めるだけで、縫合はぐんとスムーズになります。

最初は動きがぎこちなくても、繰り返すうちに、針の先があなたの「手の延長」に変わる瞬間がきます。焦らず、向きを見て、そっと押してみましょう。

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問題

針を左に出したいとき、適切な操作はどれか?

A. 針を右に回して押す
B. 組織を左に引っ張りながら針を押す
C. 針を左に向け、組織を右に引っ張って押す
D. 針をまっすぐのまま押し込む

解答
C

解説
針の動きは「向きを合わせてから押す」が基本。また、出したい方向とは逆に組織を引っ張ると、針がスムーズに進みます。したがって「針を左に向け、組織を右に引っ張って押す」が正解です。

ごっそ

ごっそ

百名以上からベスト指導医に選出された10年目若手産婦人科医。
研修医時代から腹腔鏡練習や動画メインでの復習を欠かさず、たくさんの失敗を乗り越え現在ダグラス窩閉鎖症例やキロ越えのTLH(RASH)を執刀中。
日本産科婦人科学会の若手医員選出。
教育の充実目的で情報発信しています。

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