膀胱剥離⑤ サイドからの剥離 手順

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手術で使える、サイドからの膀胱剥離の手順についてお伝えします。

帝王切開後の方などで頸管の癒着が強い時に使うテクニックです。

大雑把には横から頸管と膀胱の間に入っていく必要があります。吊り上がった膀胱を損傷しない為ですね。詳しく見ていきましょう。

サイドからの剥離の意味とそのタイミング

まずはサイドから剥離する必要が出てくるタイミングについて説明していきます。

このサイドからの剥離方法は上達してきた人こそ大切な剥離方法になります。なぜなら帝王切開後の頸管に強い癒着がある状態での膀胱剥離で特に必要になってくるためです。

帝王切開後の子宮頸管創部を下手に正面から突破しようとすると強固に固まっているため容易に膀胱を損傷します。

そもそも膀胱が体部側にひきつれていて腹膜切開の時に損傷することもありますし、剥離の層ががずれてしまい膀胱を損傷することもあります。

横からの剥離の場合は、膀胱の吊り上がりを考える必要がなく、頸管創部瘢痕部より奥(骨盤底側)で膀胱剥離できるため、安全に膀胱剥離を行えるため安全なのです。

血管周囲を触るため、慣れないとかなり危ない感じがするのですが、身に着けてしまえばCS後のTLHも難なく完投できるため身に着ける価値は大いにあります。

今回は手順をお伝えし、次回にそのコツをお伝えします。では手順を見ていきましょう。

1.子宮動静脈を剥離する

まずは子宮動静脈を大まかでいいので頸管や骨盤で同定します。

そして子宮動静脈が直線的になるように血管周囲を剥離していきます。

2.頸管を同定する

次に子宮動静脈を基準に、その腹側で頸管を同定していきます。

血管と、脂肪を基準にくぼんでいるところ(頸管)を探して鈍的に広げていきます。

3.子宮頸管と膀胱の間でトンネルを作る

膀胱を上につけるように、頸管に鉗子を押し当てて剥離をしていきます。

12時方向を超え始めると、頸管に沿って剥離していくのことが難しくなるため、同様に反対側から剥離していき、繋げて終了です。

4.子宮頸管の瘢痕部を切離する。

最後に瘢痕部が残るように体部側に剥離を広げていきます。

残った瘢痕部をなるべし薄くしてから根元で切除します。

まとめ問題と解説

問題:
次のうち、サイドからの膀胱剥離の手順について正しい説明をしているのはどれでしょうか?

A. 最初に子宮頸管と膀胱の間でトンネルを作り、次に子宮動静脈を剥離する。

B. 子宮頸管と膀胱の間でトンネルを作る前に、子宮動静脈を剥離し、次に頸管を同定する。

C. 子宮頸管の瘢痕部を切離す前に、頸管に沿って12時方向を超えて剥離する。

D. 子宮動静脈を剥離した後、すぐに子宮頸管の瘢痕部を切離す。

解答:
B. 子宮頸管と膀胱の間でトンネルを作る前に、子宮動静脈を剥離し、次に頸管を同定する。

解説:
サイドからの膀胱剥離の手順は次の通りです:

  1. 最初に子宮動静脈を剥離します。これは血管の位置を確定し、血管周囲を剥離して直線的にするためです。
  2. 次に、この子宮動静脈を基準に、その腹側で頸管を同定します。
  3. その後、子宮頸管と膀胱の間でトンネルを作ります。ここでの重要なポイントは、12時方向を超え始めると、頸管に沿って剥離するのが難しくなるため、同様に反対側から剥離し、繋げていくことです。
  4. 最後に、瘢痕部を残すように体部側に剥離を広げていき、最終的に残った瘢痕部を薄くしてから根元で切除します。

したがって、選択肢Bがこの手順に最も一致するため、正しい回答となります。

ごっそ

ごっそ

百名以上からベスト指導医に選出された8年目若手産婦人科医。研修医時代から腹腔鏡練習や動画メインでの復習を欠かさず、たくさんの失敗を乗り越え現在ダグラス窩閉鎖症例やキロ越えのTLH(RASH)を執刀中。日本産科婦人科学会の若手医員選出。教育を充実させる目的で情報発信を開始しています。

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