膀胱剥離⑦ サイドからの剥離のコツ その②

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前回はサイドからの膀胱剥離の全4ステップの内の2ステップまでの解説とコツの説明を行いました。

今回は、残り2ステップの解説とコツの説明を行います。

3.子宮頸管と膀胱の間でトンネルを作る

ステップ2で頸管の同定が出来ました。(詳しくはこちら

つぎは頸管と膀胱の間のでトンネルを作っていきます。膀胱を上につけるように、頸管に鉗子を押し当てて剥離をしていきます。

この時のコツは、

脂肪に着目すること。

以前脂肪は手術において友達だと、重要な手掛かりになるという話を行いました。(詳しくはこちら

頸管には脂肪がないため、脂肪が見えた瞬間にそれは、腹膜あるいは膀胱の脂肪ということが出来るため、剥離層がずれているという証拠になります。

下の図では、白い頸管に沿って剥離しているつもりが、赤丸にみられるように脂肪が出てきた瞬間を表しています。剥離層がずれてしまったということがわかります。

この時は剥離層を修正するために、脂肪の下に入るようにやや戻った場所から頸管に押し当てて開き、脂肪の層になるよう軌道修正を行っています。

脂肪を上に上につけるように剥離していきましょう。

12時方向を超え始めると、頸管に沿って剥離していくのことが難しくなるため、同様に反対側から剥離していき、くぼみ同士を繋げてトンネルを作り終了です。

トンネルを作る時のコツは

骨盤底側の低い位置にあるポートから鉗子をツッコむ

になります。ガーゼでもいいですが、くぼみに鉗子をツッコミ反対側から透けて見えればそこは通してよい部位になります。わかりにくいので図で表します。

このように鉗子が出てきます。ここを切開してトンネルが開通すれば後は簡単。トンネルを広げていけば、子宮頸管と膀胱の間は確保されるわけです。

4.子宮頸管の瘢痕部を切離する。

最後は瘢痕部の切開となります。まずは瘢痕部が残るように体部側に剥離を広げていきます。

この時のコツは、

なるべく細く細くしていくこと。

瘢痕部を細くするものもちろん、切開時もなるべく細く切開し膀胱ないことを必ず確認してください。

最後まで気を抜かず、じっくりと膀胱を傷つけないように切離していってください。

これでサイドからの膀胱剥離の解説とコツの説明は終了とします。慣れてしまえば膀胱を傷つける可能性が限りなく低いのでぜひトライしてみてくださいね。

まとめ問題と解説

次の選択肢から、膀胱剥離のサイドからの剥離のコツについて最も正確なものを選びなさい。

  1. 脂肪を見つけたら、それは膀胱剥離の層を示しており、その方向に剥離を続けるべきである。
  2. 脂肪が見えた場合、それは腹膜あるいは膀胱の脂肪であり、層がずれている可能性がある。
  3. 12時方向を超え始めると、子宮頸管に沿って剥離するのは困難になるため、一度手術を中断するべきである。
  4. 瘢痕部を切離する際は、なるべく大雑把にとることが重要である。

解答と解説:

この問題の解答は2番です。子宮頸管には脂肪がないため、脂肪が見えた瞬間にそれは、腹膜あるいは膀胱の脂肪となり層がずれているという証拠になります。そのため、脂肪が見えたら軌道修正を行う必要があります。選択肢1は誤りです、脂肪が見えた場合は軌道修正が必要です。選択肢3は、剥離が難しくなるために手術を中断するべきであるという情報は誤りです、反対側から剥離していき、繋げるのが正しい方法です。そして、選択肢4は瘢痕部を広くとるべきであるという情報は誤りです、瘢痕部はなるべく細く剥離し、切開するべきです。

ごっそ

ごっそ

百名以上からベスト指導医に選出された8年目若手産婦人科医。研修医時代から腹腔鏡練習や動画メインでの復習を欠かさず、たくさんの失敗を乗り越え現在ダグラス窩閉鎖症例やキロ越えのTLH(RASH)を執刀中。日本産科婦人科学会の若手医員選出。教育を充実させる目的で情報発信を開始しています。

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