RASH開始記録① 1例目執刀するまで。開始に大切なのは技術?メンタル?それとも・・・?

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RASH(ロボット支援下子宮単純全摘術)を始めてから1年間で約50例ほど執刀しました。

初めはアームの動かし方もわからないところから、今はコンソール時間最速で39分で執刀できるところまでくることが出来ました。

この一年間がどのようなものだったのか、その体験談を、資格の枠の取り方やRASHがTLHと比べてどのように違うのか何を気を付けるべきなのかなどを含めて話していきたいと思います。

これから始めるぞという方はもちろん、すでに始めている方にも新しい知見が得られるような内容になっていますのでどうぞお見逃しなく。

執刀資格と資格枠の取り方

1例目を始めるまでは結構大変です。

腹腔鏡みたいに特に資格なしでできるわけではなく、ロボット支援下手術をするにはちゃんと執刀資格を得た上で執刀をする必要があります。(オペ室や看護師さんとの調整も結構大変ですがそれは割愛します。)

この執刀資格を取るのがかなり大変です。簡単に列挙すると

MRさん(営業)との練習を何回か → 見学 → 資格を取りに東京へ 

期間で言うと始まってから数カ月かかります。費用も22万ほどかかりなかなかハードルが高いです。

さらに、資格を取る枠の確保が難しいです。何ならここで一番つまづくかもしれません。

私は、運よくロボット手術立ち上げチームの二番手として入ることが出来たので。立ち上げから3カ月ほどで資格を取ることが出来ました。

いまはロボット手術の流れが来ているので、執刀資格を取る枠は1000人単位の待ちがあるとの噂を聞いたことがあります。すごいですね。

ここで枠を取る秘訣を3つ

①MRが優秀であること
②信頼関係がある程度できていること
②MRさんに情熱を伝えられていること

実は資格を取るための枠を取るのはMRさんです。

そのため、資格を取るためにはMRさんがどれだけ本腰を入れて枠を確保してくれるのかそれにかかっています。枠が空いた瞬間に全国のMRさんの枠の取り合いになります。

本腰を入れてMRさんに競争してもらう必要があるわけです。

ではそのMRさんが力を本気を出してくれるのはどのような時でしょうか。

MRさんが本腰を入れるには、もちろん営利企業ですのでMRさんに利益がある(症例が十分ある)ということは大きなウェイトを占めます。

もう一つ大きなfactorとして”推しになってもらう”ということがあると思います。

どの様なビジョンで手術に取り組んでおり、どのような今後の大きな展望があるのかを明確に伝える必要があるわけです。MRさんも人間です。頑張る気がある人を応援したくなるのも当然ですよね。

少なくとも、MRさんをないがしろにしていると枠はなかなか確保できないと思います。

なんなら今は、やりたい医者が多いのでMRさんのほうが立場が上であると考えたほうがよいかもしれません。

始めるには、MRさんと二人三脚で行います。そのイメージが大切です。

脅されまくる初執刀までの練習

執刀の枠が決まれば、次にMRさんとの練習が始まります。

正直、かなり脅されますw 足ガクブルです。

特に事故症例、死亡症例について毎回教え込まれます。

ここでメンタルやられそうになりました。

この動きをすると危ない、この動きで動脈がとんだ。など聞くだけで足が震えるような内容を教え込まれます。

やめてくれと正直思っていましたが、今となれば必要だったと思います。

MRさん教えるのが下手かというとそうではなく、むしろ優秀な方が多く、教えるのも上手です。

途中で担当のMRさんが変わりましたが、それぞれ内容は異なるもの、教え方はとても分かりやすかったです。

かなりプレッシャーをかけられながらも、二人三脚で一歩一歩ステップバイステップで着実に上達できるようにプログラムが組み込まれています

優秀なに人は、何が大切かわかっています。

それは、事故を起こさないこと

死亡例や損傷例をめちゃめちゃ教え込まれましたが、これってあれと同じですよね。

自動車教習所

教習所ってめちゃめちゃ事故の場面を教え込まれませんか?

ボールが転がってきたら子供!

この意識を刷り込まれますよね。

でも、現実世界で子供が出てくるのって年に一度あるかないかではないでしょうか。

動脈を飛ばすのなんでめったにない。けど大切。

MRさんの脅しも必要な脅しだったというわけですね。

まとめ

執刀資格取得のプロセス

  1. MR(医療機器営業担当者)との練習: 手術に必要な技術と知識を習得するために、MRと何回か練習を重ねる必要があります。
  2. 見学: 実際の手術を見学し、手術の流れや必要な技術を学びます。
  3. 資格取得のための東京への旅行: 資格を取得するためには、東京にある特定の施設や機関で必要な試験や講習を受ける必要があります。この過程には数ヶ月かかり、費用は約22万円となります。

資格取得の難しさ

  • 資格取得枠の確保: 資格を取るための枠を確保することが一番の難関であり、全国のMR間で競争が発生します。現在、ロボット手術の需要が高まっているため、資格を取得する枠には1000人単位の待ちがあるとのことです。

枠を取るための秘訣

  1. MRが優秀であること: 枠を確保するためには、MRが積極的に動いてくれることが必要です。
  2. 信頼関係の構築: MRとの信頼関係がある程度築かれていることが重要です。
  3. 情熱の伝達: 自身のビジョンや手術に対する熱意をMRに伝えることで、MRが枠を確保するために本気で動いてくれるようになります。

初執刀までの練習

  • プレッシャーのかかる練習: MRとの練習は、事故症例や死亡症例に関する知識を重点的に学ぶため、非常にプレッシャーがかかります。しかし、これらの練習は事故を避けるために非常に重要です。

結論

ロボット支援下手術の執刀資格を取得する過程は、MRとの練習、資格取得のための出張と費用、そして資格取得枠の確保という複雑なプロセスが必要。MRとの良好な関係構築と情熱の伝達が成功の鍵であり、事故を避けるための徹底した練習が必要です。

ごっそ

ごっそ

百名以上からベスト指導医に選出された8年目若手産婦人科医。研修医時代から腹腔鏡練習や動画メインでの復習を欠かさず、たくさんの失敗を乗り越え現在ダグラス窩閉鎖症例やキロ越えのTLH(RASH)を執刀中。日本産科婦人科学会の若手医員選出。教育を充実させる目的で情報発信を開始しています。

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