RASH(ロボット支援下子宮単純全摘術)を始めてから1年間で約50例ほど執刀しました。
初めはアームの動かし方もわからないところから始めて、今はコンソール時間最速で39分で執刀できるところまでくることが出来ました。
この一年間がどのようなものだったのか、その体験談を、資格の枠の取り方やRASHがTLHと比べてどのように違うのか何を気を付けるべきなのかなどを含めて話していきたいと思います。
これから始めるぞという方はもちろん、すでに始めている方にも新しい知見が得られるような内容になっていますのでどうぞお見逃しなく。
目次
初執刀のメンタル
初執刀は、CIN3の症例でした。閉経後でしたので、子宮は正常大~やや委縮気味ぐらい。
感想としては、
こんなの余裕だぜ!
ではなく、
慣れない!怖い!こんなんやってられるか!!!
でした。
というのも普段、TLH(腹腔鏡下子宮全摘術)ではエネルギーデバイスをメインで使っています。
エネルギーデバイスで最も良いところは、挟んで切れるところなんですよね。
圧倒的な安心感、挟んでから少し展開して後ろを確認することもできるし、挟んだところしか切れないといった安全システム。かなり安心して切開が出来ます。
今回、電気メスはほとんど使ったことない状態でのRASHの初執刀でした。
もちろん、原理や使い方、それにアニマルラボと準備はたくさん積んできましたが初めてのことってやっぱり緊張と不安で押しつぶされそうになりました。
自転車で初めて補助輪を外したようなそんな怖さと緊張感がありました。
初執刀の感想
実際はやってみた時のとしては
近い!
でした。
臓器がかなり手前にあるように感じましたね。
というのも、ロボット手術では3D視野で本当に目の前にあるような見え方になります。
手前にあるものは当然すごく強調されますし、奥にあるものは認識が甘くなります。
腹腔鏡での2D視野の場合は、手前にある卵管も、奥にある膀胱も大きさは変わりますが、良くも悪くも
”同じ視野内のモノ”
として扱うことが出来ましたが、
これが出来なくなったので、思ったより近く見えて、驚いたのを覚えています。
そのため、だいぶ恐る恐るアームを動かしていきました。
この時のメンタルとしては、アームが動くと動脈がとんでしまう。そんなぐらいの気持ちでやっていました。ビビりすぎですね。
終わってみて
終わってみて、コンソール(ロボットを動かすための操作台)から頭を挙げたときはかなりの達成感がありました。
子宮は閉経後のCIN3でしたので小さかったですが、達成感はものすごく大きかったです。
練習に付き合ってくれた企業の方や、見守ってくれた上司やプロクター(他病院からの招聘した指導資格を持った医師)、およびスタッフの方々に感謝の気持ちがわき出てきました。
あの安堵感と達成感と感謝が混じった体験はなかなかないと思います。
この初期のの気持ちは忘れずにやっていきたいですね。
ここまで体験記といった感じでした。
次からは実際に、RASHとTLHでどう違うのか、本気で考察していきたいと思います。
お楽しみに!