ディープラーニングの元祖”Googleの猫”と”手術”って同じですよね。
え、違います?
今回は、研修医の先生とともに手術に入ったときに必ず伝えている重要な手術習得の要素について説明していきます。
読み終われば、すっきり間違いなし!
手術への認識ががらっと変わります。
ぜひ楽しんでいってください。
目次
Googleの猫
皆さん”Googleの猫”って知っていますか?
医療業界では全く聞いたことない人も多いのではないでしょうか。
実は、はやりのAIやディープラーニングにかかわる人なら必ず知っている衝撃的な研究結果になります。
それは
「Googleの猫」とは、2012年に発表されたAIの研究結果です。
Google社の研究チームは、ディープラーニングという手法を用いて、YouTubeに投稿されたビデオの中から無作為に一千万枚の画像を取り出してAIに学習をさせました。
その結果、AIが「猫が写っている画像を見分けられるようになった」と発表したのです。
この研究で特に注目されたのは、人がAIに「猫」という概念を教えたわけではない
参照;2012年にAIの歴史が動いた!ついに猫認識に成功した「Googleの猫」 | マルチナ、永遠のAI。 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
つまりか~なり雑に1行にまとめると
教えてないのにAIに画像を見せまくったら猫って勝手に認識した。
ということになります。
これってものすごくないですか?
コンピュータに対して指示がないのって考えられないですよね。
普通は必ず指示は行いますよね。
例えば、猫の耳の形を指定して、この形の耳を持つものは猫という風に、どこがどうなっているかを説明することでしかコンピュータはわからなかったはずです。
これをぶち破ったのが”Googleの猫”というわけです。
”Googleの猫”と手術の共通点
ここで本題に移りましょう。
”Googleの猫”と手術の共通点です。
それは
”ある閾値を超えると急にわかる”
ということです。
よくわかりませんか?
具体的に見ていきましょう。
例えば、初めて子宮全摘の術野を見たときを考えてみると、始めはよくわからないですよね。
子宮はわかるけど、膀胱や尿管なんて言われてもよくわからなった記憶はありませんか?
しかし、ある時ふと”尿管だ!!!”と認識できたことありませんか?
これが卵巣で子宮の後ろについているのか!と分かった経験ありませんか?
今まで見えてこなかった、血管が急に見えて、認識できるようになったことはありませんか?
これこそ”Googleの猫”との共通点になります。
ここまでくれば何となくわかったと思います。
つまりまとめると
Googleの猫は、大量に猫の画像をAIに見せまくったらいつの間にか猫を認識していた。
手術は、大量に手術を経験していたらいつの間にか尿管を認識していた。
となるわけです。
つまり、大量に経験を積むこと(画像を見る)ことで”モノ”を認識できるというわけです。
数多く見ることで、ある段階を超えると急に臓器が認識できるわけですね。
共通点からの学び
この共通点からの学びは何でしょう?
陳腐な結論を言ってしまうと、
経験を積むとよいになってしまいます。
しかし、もっともっと大きな希望に満ちた結論があります。
実は、ディープラーニングは人間の学び方と同じと部分があるといわれています。
そして、人間の学び方、手術の上達とディープラーニングが同じであるならば、焦ることは必要ないわけです。
よってこのように言うことが出来るのではないでしょうか。
今わからなくても大丈夫。いつかわかるときがくる。
そんな希望のある話になるのではないでしょうか。
なので、もし今何か認識できない臓器や血管走行や手技があったとしても大丈夫です。
いつかわかるようになる。それでよいのです。
焦らなくても大丈夫。ではまた。