縫合の原則に基づいた、腟断端縫合シリーズの第二弾!
1つ目は層を合わせる。2つ目は創部の減張でしたね。
今回は”創部の減張”にフォーカスを当てた腟断端の縫合を見ていきましょう。
目次
2層目は真皮縫合と同じ
腟断端の一層目は前回説明しました。
筋層→粘膜→粘膜→筋層と筋層同士、粘膜同士が合わさる様に縫合しました。
薄い粘膜がきれいにくっつくように1層目を取りました。
2層目は創部の減張が一番の目的になります。
ここで最も大切なイメージが皮膚における”真皮縫合”になります。
真皮縫合は、真皮を幅広くとることで、表皮での減張を達成していますよね。
これと同じことを腟断端で行えば良いわけです。
イメージとしては以下のようになります。
表皮→筋膜として、真皮→筋層として考え、筋層を幅広く、奥まで取れればよいわけです。
腟をよこから見たのイメージはこんな感じです。
減張するためには2層目は図のように運針するのが望ましいです。
これによって中の筋層と粘膜が減張され傷の治りが理論的に良くなります。
実際の縫合の仕方
まずは筋層を展開します。
この時のポイントとしては、メリーランド型の鉗子で筋層の外側、つまり筋層側を薄く持ちます。
真皮縫合で表皮を持ち上げるようなイメージです。
筋層に針を挿入していきます。
この時のイメージはやや奥(腟の尾側)に向かって運針するイメージで奥の組織を取れるようにします。
筋層をひっかけながら手前に針を出す
つぎに筋層をひっかけながら針の先端を軸にして針を手前向きにします。
一層目ぎりぎりに出します。
これで片方の運針が完了します。
反対側も同様に
反対側も同様に、筋層を展開し奥目に運針、針の先端を軸にめくりあげ、手前に運針します。
これをを繰り返して終了です。
所属施設では年間200-300件ほどTLHやRASHを行っていますが、ここ数年腟断端離開は行っていないのでこのやり方でおそらく間違いはないと思います。
ただこのやり方がその施設にとってベストかどうかは不明です。
一層目を前層縫合して、プラス正中Z縫合や腹膜縫合でもよいと思います。閉経後など膣壁が薄い時はよくやっています。
縫合後の腟断端の強さを調べれたら一番なのですがなかなか難しいですね。
なので、今回のやり方も私が考える理論上よい2層縫合になります。
めくりあげて、なるべく奥を取るような運針が必要となるためやや技術が必要となりますが、ぜひ参考にしてみてください
これでやっとTLHが終わりました。今後は、他の術式についても詳しく解説していこうと思います。もしかしたらパラレル配置のTLHより需要があるかもしれませんね。もう少しコラム的なものも増やせたら良いなぁと思っています。よろしくお願いいたします。
まとめ問題と答え
問題: 腟断端の2層目縫合についての説明の中で、正しい記述を選択してください。
A) 2層目縫合では筋層を薄くを取り縫合を目指す。
B) 真皮縫合のイメージを参考に、筋膜ではなく筋層を幅広く取り、減張を達成する。
C) 筋層は分厚く持ち上げ、扱いながら縫合する。
D) 一層目の縫合は筋層を中心に行い、二層目では粘膜のみを縫合する。
答え: B) 真皮縫合のイメージを参考に、表皮ではなく筋層を幅広く取り、減張を達成する。
解説: 腟断端縫合の2層目では、真皮縫合のイメージを用いて筋層を幅広く縫合することが重要です。この方法は、表皮での減張を達成するのと同じ原理で、筋層を幅広く取ることにより、創部の減張を目的としています。これにより、傷の治りが理論的に良くなるとされています。他の選択肢は、このテキストに基づいた正しい手法を反映していません。