縫合の原則① 「まず、縫合するときに気を付けることってなんですか。」

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今回は、縫合の原則についてです。医師になったら誰しもがやりますよね。縫合。

持針器で針もって、セッシで皮膚もって、張りを通して結紮。

たったこれだけ。

院内研修が終われば救急で結構早めに到達する手技ですよね。

ただ、奥が深い!バイカル湖ぐらい深い。こだわりだすと本一冊かけます。

今回、その深い深い縫合をたった2つ原則にギュッとまとめました。


どの様に縫うのか気になるよって方以外にも、縫合をする可能性のあるすべての医師に読む価値のある内容になっていますのでお見逃しなく。

原則①:同じ組織(層)を合わせる

早速、原則の一つ目に行きましょう。一つ目は・・・

”同じ組織を合わせること”

例えば、腕の切り傷を縫うときに、腕の皮膚と指を縫い付けることはしませんよね。

そんなのあたりまえじゃないか!!!

と思いますよね。

例えば、切り傷ではなく、裂けたような傷の場合、ギザギザな創部となりもともとの形がわかりにくい時があります。

これにより、もともとの位置とは違う組織同士を合わせてしまうミスが起こることがあるんですね。

さらに、解像度を高めると、この”違うもの同士を縫い合わせる”を知らずにしている場面があります

”組織を合わせる”の解像度を上げると”同じ層を合わせること”といえます。

出来ていない状況を考えると、例えば、皮膚を縫うときに真皮同士を合わせずに、真皮と表皮を合わせてしまうようなものです。

表皮同士が付かないと、傷はくっつきませんよね。

そのため、組織はもちろん、もっと解像度を高めて、同じ層を合わせることが大切になります。

同じ組織(層)の具体的な合わせ方

では同じ層の具体的な合わせ方についてみていきましょう。

①まず層を知る

層に何があるか知ることがファーストステップになります。

何が存在するかどうか知らないと何もできないです。

知る方法としては、

”調べること”と”実際見ること”

の二つがあります。実際、見てみて同じそうな色や質感のものを探してください。そうすると認識しやすくなります。

②層が見やすいように展開する

層を見えるようにすることが二つ目のステップになります。

もっと具体的に言うと、薄くしっかりとセッシで持ち上げること組織を離します

本を開くと、ページが見えてきますよね。しかし、握りしめて開くと内容が見えませんよね。

また、少ししか開かなくても内容は読めませんよね。

なのでしっかりと本を読むときは開く必要があるわけです。

本で言うと当たり前ですが、創部を分厚く、少ししか持ち上げず層が見えていない場面に遭遇することが時々あります。

しっかりと左手で近くを把持して、展開して層を見えるようにしましょう

層同士を縫う

②の手順でしっかりと展開が出来れば、

あとは層同士を取るように運針できれば層のあった縫合は完了となります

この時に大切なのは、左手で組織を動かすことです。

組織を動かすことで運針が思った通りに行うことが出来ます。

逆に言うと左手が使えないと、自由に運針をすることはできません。


ちなみに脂肪は縫合すると溶けて炎症を引き起こすので基本かけないほうがいいですね。

皮膚での模式図で言うと以下のようになります。

長くなってきたので、原則②は次回紹介になります。お楽しみに。更新はXで告知しています。

まとめ問題と解説

問題: 縫合における「同じ組織(層)を合わせる」という原則に基づいて、以下のうち正しいのはどれか?

  1. 縫合時には皮膚の表皮層だけを合わせることが重要である。
  2. 脂肪層は縫合すると溶けて炎症を引き起こすので、縫合しない方が良い。
  3. 創部を展開する際には、創部を分厚く持ち上げて層を見ることが重要である。
  4. 縫合時には層を認識しやすくするために、左手を使用せずに進めるべきである。

答え: 2. 脂肪層は縫合すると溶けて炎症を引き起こすので、縫合しない方が良い。

解説:

  • 選択肢1は誤りです。縫合では、皮膚の表皮だけでなく、真皮層も含めて同じ層を合わせることが重要です。
  • 選択肢2は正しいです。脂肪層を縫合すると溶けて炎症を引き起こす可能性があり、通常は縫合されません。
  • 選択肢3は間違っています。創部を展開する際には、層が見やすいように薄くしっかりと持ち上げることが重要です。
  • 選択肢4も誤りです。縫合時には、左手を使って組織を動かし、適切に層を合わせることが重要です。左手の使用が縫合技術において非常に重要です。
ごっそ

ごっそ

百名以上からベスト指導医に選出された8年目若手産婦人科医。研修医時代から腹腔鏡練習や動画メインでの復習を欠かさず、たくさんの失敗を乗り越え現在ダグラス窩閉鎖症例やキロ越えのTLH(RASH)を執刀中。日本産科婦人科学会の若手医員選出。教育を充実させる目的で情報発信を開始しています。

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