ロボット手術中、気づけばアーム同士が絡まり動きにくくなり、
「バチん!」
そんなアーム干渉によるヒヤリを経験したことはありませんか?
原因の9割は3rdアームの位置にあります。
この記事では
- なぜ球体イメージで干渉を防げるのか
- カメラ中心からアームを遠ざける具体的ステップ
を解説します。読めば明日の症例で視野が一段と広がるはずです。
今回の話は他の開腹手術や経膣、腹腔鏡にも応用可能です。ぜひ見てみてください。
目次
干渉原因は??
なぜアーム同士が干渉するのか?
その理由として、以下の三つが考えられます
- 全体が見えにくい
- 触覚がない
- アームが太い
つまり、ロボットは近接視野で行うので、俯瞰した視野を取りにくく全体像が見えにくい。また、触覚もないのでぶつかっているという感覚が少ない。さらに、腹腔鏡の鉗子と比べてアームが太くぶつかりやすい。
核心はたったひとつ 3rdアームで巨大球を作ろう
これらを解消するための考え方をお教えしましょう!
カメラを中心に3rdアームまでの球を描き、その球をできるだけ大きく保つ
——これこそが干渉ゼロの秘訣です。
解説
円で考えていきます。本当は3次元で直感的に説明できるといいのですが、2次元が最も人間が認識しやすいと言われています。
(人間は3次元で情報を理解するのが苦手です。現代で最も優れた情報整理の方法は表形式(2次元)と言われているほどです)
カメラから3rdアームまでの距離を半径とした円
まず、アームがありますよね。
カメラから3rd
アームまでの距離を半径とした円をイメージしてみてください。
そこにアームが来ているイメージをしてください。こんな感じですね。

弓道の的をイメージしてください。3rdアームの位置を工夫し、この円をなるべく広くなるようにする(アームを中心から離す)ことで、干渉が起こりにくくなります。
この図で言うと円は青の部分になります。大きな円で干渉がないですよね。

干渉する時
仮に3rdアームを中心に近づけて、小さな円にしてみるとどうなるでしょうか。

アームが干渉します。

まとめ
今回はロボットアームの干渉の防ぎ方をかなり簡略して解説しました。
やることは、カメラを中心とし、3rdアームまでの距離を半径とした球をイメージして、その球がなるべく大きくなるように3rdアームを配置するだけです。
それでもうまくいかないこともありますよね。
なぜそうするといいのかの深掘り、そして、うまくやるTIPSについて続きで説明していきます。
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問題
ロボット手術において、アームの干渉を防ぐために推奨される3rdアームの配置はどれか?
A. カメラのすぐ近くに3rdアームを配置することで繊細な操作を可能にする
B. 3rdアームを中心(カメラ)からできるだけ遠ざけて、大きな球をつくるように配置す
C. 3rdアームを内側に曲げ、アーム同士が接近するように配置する
D. 干渉を避けるため、3rdアームはなるべく使用しない
解答解説
B. 3rdアームを中心(カメラ)からできるだけ遠ざけて、大きな球をつくるように配置する
記事では、カメラを中心に「球」を描き、3rdアームがその球の外縁になるような大きな球体をイメージして配置することで、アーム同士の干渉を避けられると説明されている。逆にカメラ近くにアームを配置すると球が小さくなり、アームの動作範囲が狭まり干渉が起きやすくなる。