2大原則に基づく腟断端縫合①層を合わせる 

2 min

腟断端シリーズ第一弾、2大原則に基づく腟断端縫合です。

縫合時における2大原則は何でしたか?(詳しくはこちら

①層を合わせる
②創部を減張する

この二点でしたね。これらの原則を腟断端縫合に適応するとどうなるのか見ていきましょう。

今回は原則その1”層を合わせる”にフォーカスを当ててみます。

腟の層を合わせる

一つ目の原則は次①同じ層を合わせるでしたね。具体的には次の三つになります。


1.まず層を知る
2.層が見やすいように展開する、
3.層同士を縫う

ではそれぞれ順番に見ていきましょう

まず層を知る

腟の層は3つになります。

内側から粘膜、筋層、筋膜(包む膜)になります。これは知っておくしかないですね。

粘膜があり、支持組織があり、それを包む膜があるようなものですね。

層が見やすいように展開する

展開に関しては、何を見たいかによって変わります。

見たい組織のごく近くをなるべく薄く把持しテンションをかけて層が見えるようにします。


図は、腟断端の端っこを縫うときの展開になります。筋層の一部と粘膜を縫合したいので、筋層と粘膜の間を薄く持って展開しています。

断端の途中の縫合場面ですが、助手に腟断端を引っ張ってもらいテンションをかけてもらい、近くを持つことで見やすいように展開しています。

コツとしては何度も左手で展開しなおすことが大切です。

何度も、展開を変えて、一番見やすく運針しやすい”術野”を作っていく意識が大切となります。

層同士を縫う

層が認識できればあとは運針になります。

運針で大切なのは左手の動きになります。

ポートの配置により動きが制限されているため、右手は基本的に回すとひっかけることしかできません。左手で微調整して層を縫合します。

下の図では、白い矢印から、筋層→粘膜ととり、赤い矢印に粘膜→筋層ととることで同じ層で縫うことが出来ています。

先ほどの腟断端を途中で縫い終わった時の画像でも、左手で組織をコントロールして狙った層に運針を行っています。

層を知り、その層を取れるように展開し、層同士を縫う。

これらを意識して、層を合わせてみてください。

次回は原則②創部を減張するを腟断端縫合に適応するとどうなるか見ていきますね。お楽しみに。告知はXで行っています。

まとめ問題と解説

問題: 腟断端縫合における「層を合わせる」という原則に関して、以下のうち正しいのはどれか?

  1. 腟の層は内側から粘膜、筋層、脂肪層で構成されている。
  2. 層を展開する際は、筋層の一部と粘膜の間を薄く持ち、適切なテンションをかけて層を見えるようにする。
  3. 運針時、左手の微調整は不要であり、主に右手を用いて縫合を行う。
  4. 縫合の順序は、まず筋膜から始め、次に粘膜、最後に筋層を縫合する。

答え: 2. 層を展開する際は、筋層の一部と粘膜の間を薄く持ち、適切なテンションをかけて層を見えるようにする。

解説:

  • 選択肢1は間違いで、腟の層は内側から粘膜、筋層、筋膜で構成されています。
  • 選択肢2は正しいです。腟断端縫合では、層を正確に認識し、適切に展開することが重要です。筋層と粘膜の間を薄く持って展開し、テンションをかけることで層を見やすくします。
  • 選択肢3は誤りで、運針時には左手の微調整が重要です。右手は主に回転と引っ掛ける動作に限定されます。
  • 選択肢4も間違っています。縫合の順序は、まず同じ層を合わせることが重要であり、特定の層から始める必要はありません。
ごっそ

ごっそ

百名以上からベスト指導医に選出された8年目若手産婦人科医。研修医時代から腹腔鏡練習や動画メインでの復習を欠かさず、たくさんの失敗を乗り越え現在ダグラス窩閉鎖症例やキロ越えのTLH(RASH)を執刀中。日本産科婦人科学会の若手医員選出。教育を充実させる目的で情報発信を開始しています。

FOLLOW

カテゴリー:
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です