最近の動向を見ていると、医学生さんや研修医の先生が見てくれていることも多くなってきました。
内容としてはかなりマニアックなブログですがもう少し歩み寄って、専門用語をかみ砕きまくった、ゆる解説をしていくシリーズを行います。
そもそも子宮全摘の方法を何個かに分けて説明したいと思います。これは開腹(AT)でも腹腔鏡手術(TLH)でもロボット支援下(RASH)でも共通した内容になります。
目次
臓器を取るとは
そもそも臓器を取るについてゆるーく考えてみましょう。
一般化して、ふつうにものを取るときってどうしますか?
ものって”持ち上げる”と取れますよね。
落ちてるボールを拾うときは持ち上げるだけでボールを取ることが出来ます。
では、土に埋まっているジャガイモを取り出すときはどうでしょう。
ただただ取ろうとしても引っかかりますよね。根っことか周りの土など。なのでついている根っこをはぎ取り、土をはらいますよね。
引っかかるものがあればそれをどけて取ります。
他の例なら、洗濯物の山からズボンだけを取り出すとき、山に手を突っ込んで、ズボンを引っ張ってその周りのパンツやシャツをどかして取り出しますよね。
そんな雑なことはしませんか?(笑)
言いたいことはわかりますよね。
ものを取るときには、引っ張って周りのものをどける
これがものを取るときの方法になります。
実は、手術でもこの単純な作業をしています。
もちろん手術をするということは生半可な事ではダメで、人の命に係わり、医師免許がなければ傷害罪であり、産婦人科であれば生命の誕生にも関わるとてもとても大切なことです。
ただ、こういった意義的なところを無視し、している事だけを注目すればやっている作業としてはジャガイモや洗濯物の例と変わりないです。
実際手術でやっていることは、引っ張りながら膜や血管や隣接臓器をはがして引っこ抜いて終了。
かなり暴論ですがこれが真理となります。
この考え方で子宮全摘を見ていきましょう。
超ゆる子宮全摘
子宮を取るときって、子宮は持ち上げてもとれません。何がついているのでしょう。
この画像を見てもらうとわかりますが、上部靭帯と下部靭帯があります。
子宮を引っ張りながら、この上下の靭帯を切って最後に膣を切ったら子宮は取れます。
以上が子宮全摘術となります。
これでは抽象度が高すぎるのでもう少し具体的な話をします。少し具体的になるので難しいかもしれません。
困難は分割せよ
”困難は分割せよ”
デカルトの言葉ですね。
すべての現象に当てはまることですが、難しいことは分割して考える必要があります。
旅行に行く → いつ、どこに、誰と、お金はいくら?などなど
自分のできる範疇にまで分割して考えることで、実際に行動が出来るわけです。
今回、超ゆるーく子宮全摘を
引っ張って上部靭帯と下部靭帯を処理したらできると説明しました。
これも一つ一つ分割して処理するだけです。
上部靭帯→ 円靭帯、卵巣、卵管 →それぞれの切開ライン、切開方法、展開方法 →腹膜の切開、血管の切開、把持部位
という風に分割していき、自分がわかる範囲まで考えればいいのです。
ちなみに、どこまで分解し解像度を上げられるか。それがどれだけ熟達しているかを分ける一つの指標になります。
これらはすべてのことにおそらく共通していて、
全くしたことないですが、メイクであれば
顔にメイク用品を塗る → 部位によってメイク用品を変える → 塗り方を変える → 色や材質をこだわる
といった風にどんどん上達するにつれて細かくなっていくのではないしょうか(やったことないので間違っていたらすみません)
他には、日本を旅行するときに、東日本、西日本という分け方しか知らない人と、関西地方の大阪府の難波の通天閣までわかっている人とどちらが慣れているかは一目瞭然ですね。
手術の分割した内容に関しては
TLHまとめページ – 産婦人科医ごっそのラパロなブログ (sogogyne.online)
こちらを参照してください。読んでいただきありがとうございました。
まとめ
- 一般的な物を取る方法:物を取るときには、引っ張って周りのものをどけるだけ
- 手術における同様のアプローチ: 物を取る際の考え方は手術においても同様である。手術においても、周囲の組織を処理し、必要な部位を引っ張って取り除く作業が行われる。
- 子宮全摘術の手順: 子宮を取り出す際には、上部靭帯と下部靭帯を切ってから、膣を切開するだけである。
- 困難を分割して考える: 困難なことは分割して考える必要がある。具体的には手術であれば手順を細分化して考えることが重要である。